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ブルースハープをやりはじめたのは1960年代半ばのころ。
ディランやドノバンに憧れ、机の中に眠っていた複音ハーモニカを引っ張りだし吹いていた。 でも、なんか音もレコードとは違うし、形もレコードジャケットのものとは違う。そのうち、それがブルースハープというハーモニカだと知った。
小学校からハーモニカは得意だったし、家のなかには兄たちのハーモニカが何種類かあった。 クロマチックやパイプ型などもあった。
ギターを弾きながら吹くと言うスタイルは、そのころの日本では演芸の人たちしかやっていなくて、僕の大阪の実家は和服の古着を貸したり、売ったりしていたので芸人さんがよく出入りしていた。 だから、いつも難波の演芸場へはタダで入れた。
音楽漫談のグループがいて、ギターの人が首からひもをぶら下げて器用にハーモニカを吹いていた。 だから、今のようにハーモニカホルダーが無かったので、僕もよく真似をしていた。 しばらくして、ホーナーのBlues HarpとトンボのFolk Bandが発売された。 どちらも、ボディが木製で気密性が悪かった。 音がスカスカ抜けて音量が稼げない。 いま、思えば技量不足なんだが、だんだんとバンドもアンプや、ドラムなどを使いだしたし、今よりもっとひどい音響設備だったので、ハーモニカ吹くときはしんどかった。 だから、みんなソーキングといってハープを水に一度つけてから吹いていた。 なんだか、この仕種がかっこ良くって、ビールにつっこむ奴もいた。 そのかわり、吹いたあとがたいへん。 木が膨張して吹き口が前に迫り出して来て、唇が痛くてしようがないことになる。 このころ1970年ころ。
輸入盤のレコードジャケットによく見かける白い紙箱のハーモニカが気になりだす。
気が付けばアーティストはみんなそれを使っていた。 それは「Marine Band」と言う名のハープだった。 Blues Harpよりも大きく見えたし、吹いてもうまくなったような気持ちになった。 そのころブルースハープの妹尾隆一郎君とも知り合った。
彼はMarine Bandのカバーの後ろ部分を大きく膨らませていた。 Marine Bandにはカバーとボディ部の間に支柱が無いので、演奏しているうちに、カバーが凹んでしまい後部がフタされた状態になり、音量が落ちてしまう。 この、Marine Bandは現在でも作られていて、世界中で愛されている名機だ。 僕もよく使っている。
ただ、木製のためボディとリードプレートとの接触部にあそびがあり、吹きこなすには多少経験とコツが要る。 木製ボディはまたクシ形なので余計空気もれが生じる。 でも、このあそびがあることが、パワーフルなブルースハーププレーヤーにちょうど良いのだ。 後にMarine Band MSというやや大振りタイプがでて、密閉度を増したが、リードがすぐに駄目になるのが原因か廃版になっていた。 おそらく密閉度を増し、空気の逃げ道(あそび)がなくなったので、その分リードに負担が行くようになったのだろう。 現在は樹脂ボディが主流になってきていて、僕のハーモニカケースの中も殆どを占めている。 これは、楽に音がでるし、製品の安定度も増したからだと思う。 以前はハープの固体差が激しかったが、最近の樹脂ボディのハープは良くなったと思う。
今年、ブラジルのHeringから発売された「1923 Vintage」はまるでMarine Bandの現代版のようなハープだ。形状もよく似ている。低音から中音、高音にかけてのバランスが非常に良い。音色はやや明るく、軽い。 つまり吹きやすい。初心者にも向いている。