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桜が咲き始めた。と同時にスタジオの仕事も動きだした。CMやドラマの劇伴、CDの録音など。先日あるCMの仕事で渋谷のスタジオに行った。若い作曲家とCM制作ディレクターがいて、すでに出来あがっているオケにハーモニカをダビングすることになった。オケにはドラムしか入っていなくて、それが2パターンある。おまけにスコアも無いからメロディもコードの指定もなにもない。なんだか安直な感じ。お任せとくる。これで作曲料もらえるのか作曲家!
こういう場合は行き当たりばったりで方向性を決めていくことが多い。つまりこちらに頼っているのだ。一応1本のハーモニカで仕上げるアイデアを提示してリズムパンプとメロディを混ぜながら吹いてみた。ディレクターはそのトラックに今度はハーモニーをつけてくれと・・・え?うん?どういうこっちゃ。はじめからメロディを吹くようにしてくれー! もう、ぐしゃぐしゃなテークになっていった。コンセプトがはっきりしない録音っていつもこうなる。不景気でCMやCDの制作費を掛けたくないという最近の事情。だから安く請け負う制作者に仕事はまわる。とうぜんクォリティは落ちる。録音の現場が面白くなくなってきている。機材はコンパクトになり、性能もいい、安く買えるしマンションの一室でも録音できる。でも、音の入り口は変わらないのだ。音楽を創る、演奏をすることにもっとまじめでいたい。まだ僕がスタジオでハーモニカを吹きはじめたころ。1曲の録音に一時間、二時間も掛けて録音していた頃が懐かしい。いいテイクがとれたら本当にみんなで喜んでいた。差し換えなんか無かったのだ。