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今年も宵宵山コンサートが行われた。チケットの売れ行きが悪いと聞いていた。リハーサルをしていると時々雨が降ったりした。開場してから客席を見ると両翼に空席が目立つ。昨日のリハーサルに参加できなかったベースの河合君を加え、高石さんのリハーサルとサウンドチェックがはじまった。河合君は僕と同じラストショウのメンバーでもあり、だいぶ前になるがこのコンサートにラストショウとして参加したことがある。まだ七人の会という組織がこのコンサートを運営していたころだ。今でも憶えているが七人の会のメンバーのひとりが僕らに「このコンサートは他のコンサートとは違う、お客さんの目は肥えている、だからけっして手を抜かないように」というような意味のことを言った。僕らは今まで一度も手なんか抜いたことも無かった。他のコンサートとは違うんだというプライドが、この時とてもごう慢なプライドに感じられた。何年か後、その会は解散し、このコンサートは休止した。そのご、復活したころ、僕は高石さんのサポートに参加したのだ。
雨上がりの蒸し暑い昼下がり、コンサートは例の如く各界から選ばれた人たちがステージに立っていた。楽屋に貼られた進行表に終了したプログラムが消されて行く。自分のなかで何かが終わったような気がした。
打ち上げの後、飲んべえの河合君と一緒に行きつけのお店に繰り出した。京都の若い音楽仲間がいっぱい来ていた。その中にかわいい少女がひとりいた。友だちが紹介してくれた。「坂庭さんの娘さんです」。ぼくはあっけにとられてぽかんとしていた。
くりくりした目、愛くるしい笑顔・・・・・こんな宝物を残していたんや。うっと思わず涙が溢れそうだったが、誰にも気付かれなかった。河合君が横でテキーラをぐいぐい飲み干している、なんだかほんわか幸せな気持ちになった。