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下北沢の「モナレコード」でアーリーのライブをやった。「フリーボ」というバンドと僕たちの前に「まちかどゆうえん」というソロシンガーのアクトがあったり面白い企画のライブだった。アーリーはぶっつけ本番に近い状態で臨んだが、渡辺勝君の思惑どおりそれは正解だった。このバンドはこれで良いのだ。それでもメニューの反芻はしていたが・・・。アーリーはそれぞれがソロパフォーマンスを受け持っている。いっけんバラバラな危ういバンド。演奏技術も稚拙と言えなくもない。しかし、この自由な空間と熱い演奏は何だろう。すべてを忘れ演奏に集中し、次に何が起こるかわからないスリルなどやっていてとても楽しい。思えば、彼等に誘われ上京した僕が熱中していたのは当時ベースとギター、それに何よりもうたを歌いたかったのだ。ハーモニカなんて二次的な楽器であった。CBSソニーから新人バンドとしてデビューしたが売れはしなかった。集団生活していた家を引き払うのと同じようにバンド活動は自然に消滅していった。アーリーのキーワードは貧乏。稼いだ記憶は無い。苦しかったという記憶も無い。楽しかった想い出はいっぱいある。何年か前に再結成しアルバムも作り活動をはじめた。僕はもうひとつ踏ん切りがつかなかった。このあまりにも無欲なバンドに参加することを躊躇していた。でも共に演奏するうちこの無欲な姿勢こそ、過去に自分が置き忘れてきたものではないか。家を追われて離ればなれになったが、今こうして一緒に演奏するとき、そこにぼくらの家があるとメンバーはきっと感じているにちがいない。