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毎日鉛色の空が続いている。
明るい日記を書きたいけどそうもいかない。
大阪の兄弟に電話をした。 母がどうもボケがきているらしい。
そんなときに限って周りで不幸が起るもの。 おめでたがあつたばかりの甥のお嫁さんのお父さんが倒れたらしい。赤ちゃんの世話があるのでまわりはたいへんだ。母は誰が看る。
五月の春一番コンサートで大阪に行った時、母が頭に包帯を巻いていた。階段から落ちて四針縫ったとのこと。もう九十を越えている。この間まで元気だったが、店を閉めてからは、増々耳は遠くなり、体がどんどん縮んで小さく見える。 遠くにいる自分、うしろめたい気分。
梅雨まっただ中、アーリーのライブが新宿は歌舞伎町の外れにある「ウルガ」であった。場所は職安通りに面していて、あたりはアジアンエスニックな雰囲気が漂っている。3時入りであったが楽器を下ろしてから駐車場探しで時間が掛かてしまった。今月から交通法規が変わり駐車違反の取り締まりが厳しくなった。ライブハウスの仕事は実入りが少ない。そこに駐車場代の出費は堪える。以前はなんとか路駐で凌いでいたがもうそんなことはしていられない状況である。ライブの上がりから駐車場代を当ててくれるがメンバーには気を使ってしまう。都心に住むメンバーは電車を使ってやってくる。僕はカホンがあるし、帰りの終電は早いとくる・・・・・。
今日のライブは渡辺勝氏が最近一緒にやっている若手の歌手、松倉如子さんとジョイント。
第一部は松倉さんと勝氏のステージ。 お客さんは若い人がいたり外人さんのおじさんがいたりで、いつもと少し雰囲気が違う。松倉さんは幼い風貌で、小柄な体をくねくねと動かし、ステージは演劇的な匂いが漂っていた。さすが勝氏が連れて来た訳がわかる。強烈な個性のうたを聴いていると、ああここは新宿なんだ、新宿のライブハウスなんだなと妙に懐かしさがこみ上げて来た。
僕はステージが始る前の空き時間に歌舞伎町を歩いていた。雨はじとじと降り止まない。コマの近くのお店からMiles Davisのトランペットが聴こえて来たが、今やミスマッチな歌舞伎町かいわい。
紀伊国屋まで行き、パイプタバコ屋を冷やかし、金子光晴の文庫本一冊購入。 歩いているとボロボロの100円傘が分解してしまう。そのままヌレナガラ歩いてウルガに到着。その日のアーリーは助っ人竹岡隆さんのBassのサポートで心地よく良いステージが出来た。昔、アーリーは山下洋輔さんなんかが所属していた事務所で世話になった時期がある。なので、新宿にはこのバンド合うのだ。 ウルガのオーナーもええかんじの人物。 またやりたいなここで。新宿にはまだパワーがくすぶっている。
今日は夕方から市ヶ谷にある「サウンド・イン」にて録音。早めに入ると久しぶりのAc.Guit.の田代君、加山さんや森山さんのサポートで知られるベテランの谷さんがいた。その他ストリングス、ドラム、ベース、ピアノなど大きなAst.がいっぱいだった。ここは、福山雅弘の録音でも使った同じスタジオ。お題は八代亜紀「お酒を飲んで」。同録である。キーはD。テンポ68。スローだ。
前日もらった譜面を前もって昨夜3枚コピーし、ファーストポジション用とセカンドポジション用に。万が一に備えてフィフスポジション用も用意し、自分用に書き換える。曲が少しブルース調で、セカンドポジションになるとGキーのハープを使うが、Gはハープの中でも一番低いピッチ。イントロのメロディが2オクターブジャンプしているし、ローパートでは音が潜るかもしれない。で、念のためHiGを持参する。吹く箇所も多い。これはひょっとして同録では無理かも。予想は的中。アレンジャー、プロデューサーはブルースハープにこだわっている。でも、楽器の機能は解ってもらっていないようだ。で、しばらくベーシック録音が終わるまで待機するように指示が。これは、居残ってお勉強させられるみたいでちょっと格好悪い。名手たちの演奏は2テークで終了。みんなさすがに上手い。そして、僕の番がやってくる。エグい感じでベンドして欲しいと注文がくる。始めはセカンドでトライ。どうも違うようだ。こんどはファーストのDでやってみる。何とか行けそう。しかし、F#の音をベンドして欲しいときた。しかし、低いほうのF#は吹く音でベンドは出来ない。で、そこだけHiGに持ち替えて音をひらう。HiGは1オクターブ高くチューニングされている。こんなややこしい、かちゃかちゃとハープを持ち替えている様は、コントロールルームに居る人には見えない。そうこうしながら、結局フィフスポジションが一番適していると判断。今度はAのハープをメインにし、サブにHiGハープを。HiG持って来て正解。これで、皆さんに納得してもらったようだ。ここまで1時間かかった。録音の途中でアレンジャーの方は固定ドで指示がくるが、今回は三つのポジションだったのでちょっとばかしパニくった。でも、アレンジャーも途中でハーモニカってそういうもんなんだということがわかってもらったようだ。終了後八代亜紀さんも「良かったよ」とひとこと戴いた。今日の教訓。備えあれば憂い無し。フィフスポジションをもっと自分のものにしなければ。ほんと譜面弱いな。
先週の土曜日、大阪千日前のアナザードリームで行われた林社長七回忌法要ライブに参加させて頂いた。林社長はアナザードリームの経営者であった。現在はその遺志を見事に奥様が引き継がれている。林さんは生前から僕を贔屓にしてくださり、何度もお誘いを受けていた。しかし、スケジュールがうまく合わなかったりして、なかなかご縁がないまま時は過ぎていた。そんなある日、林さんは好きなハーモニカを持って、手塚山音楽祭の欠員を埋める為会場に向かった。「シェナンドー」を吹き終えてから急に体調がおかしくなり、自宅に戻られそのまま病院へ・・・。手当の甲斐もなく息を引き取られてしまった。 そのご、BOMサービスの秋元慎さんからいつかここでライブをとお誘いを戴く。そして、やっと実現した僕のライブだったが、やはり生前にここでライブをやっておいたらと、悔いが残っていた。 そして、先日の七回忌ライブこそがせめてもの林さんへの感謝の気持ちが伝わる機会と思い参加させて頂いた。生前の林さんは自分が気に入った、名も無いミュージシャン達にチャンスを与え面倒をみてくださった。 この日、沢山のミュージシャンが駆けつけるのをみて、つくづく人徳のあった人であったと再認識した。僕も大阪ではここで随分とお世話になっている。これからも、ここで思いっきりハーモニカを吹こうと願っている。
林さん、ありがとう。