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ニューヨークに着いたのは早朝。 まだ足下は時々揺れている錯覚を感じる。
古橋君は日本で仕事が待っているので、そのまま港から空港まで後ろ髪を引かれる思いでタクシーに乗った。残った自分と有田君はその夜のAndy Stattmanのライブを観に行く事にする。
しばらく時間があるので自分の予約してあるホテルへチェックインする。ホテルはグリニッジヴィレッジにあった。5日間滞在する予定。チェックイン後有田君の友人であるギタリストのJon Shallsと合流。時間までヴィレッジを散歩。ギターショップを三軒冷やかす。年代ものf穴アーチトップのエピフォンがとても良いコンディションで$3000。
夜になっていよいよヴィレッジ外れにある今夜の会場である、ユダヤ教寺院に歩いていった。
入り口には手作りの紙看板で「Bluegrass」と書いてあった。 薄暗い玄関を入るとすぐに細長い部屋があり、そこにはすでに20人ほどの人たちが椅子に座っていた。お酒がふるまわれている。今夜のメインAndyは自分も大好きなマンドリンブレイヤー。2000年にNYを訪れた時、帰国する日に彼のライブがあって残念ながら観る事が出来なかったのだ。
ユニットはコントラバスとパーカッションのトリオ編成。 Andyもお客さんもユダヤ人が多いのかあの独特の黒い布のキャップを頭に載せている。最初はAndyがクラリネットでユダヤの音楽であるクレズマーミュージックを演奏する。 風変わりで複雑な音階を持っていて、リズムも変拍子が多い。ベーシストは実は有田君のハークリー音楽院同期だとか。そしてパーカッションはブルース・スプリングスティーンのドラマー!だとか。この人すばらしかった。
今夜のライブは音響設備が無い生音セット。なので、彼はちゃんと考えている。小さなバスドラム、ハイハット、スネアの代わりにジャンベ、クラッシュシンバル2枚、椅子はカホン、固定されたタンバリンの構成。曲によってブラシ、ハンド、マレットと使い分ける。
リズムキープは良いし、曲に対するアプローチセンスは素晴らしい。有田君しきりに「こんな人日本にいないかなぁ」と。パーカッショニストではなくてドラマーというところに今夜の音楽が素晴らしい予感が・・・。有田君が前もってAndyの音楽は何をやってもブルーズなんや。
というのが今夜解った。クレズマーをやっても、後半のテキサスのカウボーイミュージックをやっても即興性が高くブルーズを感じてしまう。僕はブルーズはもちろん、これがニューヨークの音楽なんだと感じた。それはこれだけの異人種がひしめき合っている街は無いし、この街のJAZZが様々な要素を持っているのは、こうした人たちがいるからなんだと思う。
そういうわけで、ライブは続くのだが出かける前に楽器を持ってくるようにとJonが言っていたので有田くんと僕も持参していた。後半Jonが参加してその後有田君が参加。盛り上がる。
僕も出たいと思っていたら終わってしまった。何ともタイミングが・・・・
いずれにしても久しぶりに体験したすごいライブであった。
そして、今宵のライブの料金はお皿をまわしての寄付でまかなっていた。なんとも贅沢で豊かなニューヨークの音楽なんだろう。